黒木町日記

実家のある福岡県の黒木町。2010年2月1日をもって、
八女市に吸収され、名前も聞く機会もめっきり減りました。
ちなみに、管理人は東京都暮らしを経て長崎県在住です。
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東京演劇集団 風公演 『コーカサスの白墨の輪』観劇
まずは、あらすじを劇団WEBより引用。
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反乱が起き、町を治める領主が倒された復活祭の日曜日。
戦地に赴く許婚の帰りを待つ女中グルシェは、善への誘惑に負け、
領主の赤ん坊を背負い込んでしまう。厳しい冬のなか、
追っ手や餓えから逃れるため、彼女と赤ん坊ふたりきりの旅が始まった。
一方、反乱が起きたその日に、偶然にも裁判官にさせられてしまった、
村役場の呑んだくれアツダク。賄賂をふところにイカサマ判決を下し、
貧しい者にも正しい裁きを与える彼は、人びとに束の間の正義の時代をもたらした。
それぞれが違う道を辿ったグルシェとアツダクは、
子どもをめぐって開かれた裁判の席で出会うこととなる……
-------
この作品は、ドイツに生まれたベルトルト・プレヒトが、
1944年に亡命中のアメリカで書いた作品だそうです。
身の前に起きる戦争の混乱と、親と子という普遍的題材を詰めたこの作品は、
とても重く、それでいてかつ入りやすいストーリーでした。

戦乱によって、自分のことしか考えられない人々が大多数の中で、
将来の希望を持って行動する人が存在するそのギャップ。
王の息子という将来が約束された存在を偶像崇拝する血筋の人間がいる一方で、
私の命を賭けて育てた子どもというだけで、
ただその積み重ねた時間を大切にする母親が対比で描かれます。
 
しかも、その両者の主張を裁判するのは、権力者ではなく、
民衆の心を知り尽くした市井の呑んだくれ。
戦争という非日常の環境であるからこそ、自分さえ良ければよいという非人間的な振る舞いと、
人間本来の価値を認め長いスパンで行動しようとする振る舞いに
大きな差が出てくるというのが、このお話を貫くメッセージでした。

私は、このお話を見ていて、
今の日本社会はどこに向いて進んでいるのだろうかと心のなかに、
短い鋭い刀を刺された気持ちに打ちひしがれました。
 
国家がどのように進んでいくかは、国民がどのような暮らしを求めるかの総和であるはずです。
しかしながら、現実の政治は、
国会前を何十万の人々が囲んでいることにも象徴されるように、
国民の代表の声を国会議員が反映しているとは、決して断言できない現状です。

本当に、必要な国の仕組みはどこにあるのか、
世の中が平安であるときは、誰にしもがそんなことには全くの注意を払いません。
しかしながら、いざ他国との戦乱に巻き込まれたり、
普段とは全く異なる環境が起きたときには、国の仕組みがオカシイと思う人がどれだけ多くても、
それを直すことは無理な相談になります。

コーカサスの白墨の輪というタイトルが示すとおり、
この物語の最期は、丸く描かれた輪の中で、
自らの子どもを争う母親同士が綱引きをするシーンで終わります。
綱を強く引っ張り一旦子供を手にした実の母から子供はとりあげられ、
子供を引っ張りあうことを育てた私には耐えられないと叫んだ育て親の元に子どもは戻されます。

どれだけ社会が進もうとも、どれだけ問題が山積しようとも、
子を思う心を持った親に勝る愛情を他者が見いだすことは困難です。

ごくごく当たり前なのですが、それを見失っている人々がとても多いと感じる世の中で、
この演劇に描かれた世界観は、とても沢山のことを教えてくれました。
そして数え切れないほどの希望を与えてくれました。
 
私は思わず、プレヒトの原作集を古書店で探したほどです。
親と子、あまりにも有り触れた存在だからこそ、一番分かりやすい社会の縮図である。
それを起点にして、また今日からの人生を有意義に歩んでいきます。
役者の皆さん、脚本家、スタッフのみなさん、本当にありがとうございました。
コーカサスの白墨の輪
JUGEMテーマ:演劇・舞台
演劇 | 00:02 | comments(0) | - | - | - |

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