黒木町日記

実家のある福岡県の黒木町。2010年2月1日をもって、
八女市に吸収され、名前も聞く機会もめっきり減りました。
ちなみに、管理人は東京都暮らしを経て長崎県在住です。
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アラヤシキの住人たち 〜長野県小谷村の真木共働学舎を追ったドキュメンタリー 〜 鑑賞

まずこの映画の冒頭に紹介される共働学舎の創設者、

宮嶋眞一郎さんの言葉を紹介せずには要られません。

――――

あなたという人は地球始まって以来、絶対いなかったはずです。

あなたという人は地球が滅びるまで出てこないはずなんです。

わたくしはそう思っています。

――――

そう、この言葉がこの映画のテーマになっています。

長野県の山奥で様々な土地から集まった元々所縁のない人が集って共同生活をする。

それぞれが自らで働ける作業をやり、会話をし、同じ時間を過ごす。

もちろん時にはお互いの意見がぶつかり合うこともあるが、

そんな時にも、時間をかけて会話を重ねることで妥協点を見出していく。

東京で仏頂面で日々を過ごしている私が、忘れてしまった光景がそこにありました。

真木共働学舎で暮らす人々は「アラヤシキ」という大きな茅葺屋根の家に住んでいます。

90年前に建てられたこの大きな家は、もちろんのこと屋根も葺替えが必要です。

電気は通っていますが、炊事も暖房も自らで伐った薪がエネルギー源です。

お米も野菜も卵も自家製、犬と猫と山羊も一緒に生活しています。

共働学舎の創設者の次男である宮嶋信さんを代表に、13人の住人が登場します。

それぞれに個性的な方ばかり。もちろん、都会の生活に馴染めなかったり、

対人コミュニケーションが得意ではなく、一般のコミュニティーでは、

除け者扱いされてしまうだろうメンバーもここにはいらっしゃいます。

だからもちろんながら、みんなで田植えをするときには、手際よく沢山の

苗を植える人がいる一方で、数少ない苗を植えるのも往生する方もいらっしゃいます。

けれども、おしゃべりでお仕事が遅い人には、宮嶋さんの奥さんが、

優しく話をかけてくれて、お仕事の手伝いをしてくれます。

お父さんヤギ・お母さんヤギ・そして子ヤギ、犬と猫も、

住民にとっては大切な仲間で、いろいろなところで肌を触れ合い、

動物たちも楽しそうだったり、嫌がったり、いろんなコミュニケーションを図っています。

アラヤシキに夏滞在していて数日で突然いなくなった21歳の男の子は、

全国を放浪したのちに、結局この場所に戻ってきました。

いろいろな場所に行ったけど、どうしても馴染めなくて逃げることを繰り返した結果、

真木で逃げないで頑張ろうと決意を他の住民に向かって涙ながらに訴えます。

突然出て行って、また突然戻ってきたことに納得のいかない住民が、

きちんと説明して欲しいと大きな声を出すのですが、

宮嶋さんは、男の子の決意を聞いた上で、いつでもいろいろな人がやってこれる

この真木協働学舎の意味を説明しながら、お互いの間に入ってじっくりと、

気持ちが高ぶっている二人の気持ちを落ち着かせていきます。

山深いこの真木の地は、かなりの積雪地帯のため、冬は雪に閉ざされます。

夏であっても結構な山道を登る土地なので、この場所を求めてくる訪問者以外は、

ほとんど人の出入りもない状態で、農業などに従事する以外は時間を費やす術もありません。

(もちろんアラヤシキの中で本を読んだり、会話したりはあるのは当然ですが)

私は、福岡の平野部とはいえ、適度な農地が拡がる地域で育ったため、

この映画で出てくる光景を見ながら、非常に懐かしい気持ちになりました。

田んぼで田植えもしたことがありますし、稲刈りも、

かまどはなかったのですが、母親の実家で火おこしをするのはいつものことでした。

汲み取り式の便所の糞尿を汲み取って畑に運ぶ手伝いもなんどもやりました。

祖父と祖母とともに、みかんの収穫をやったり、お茶摘みも手伝いました。

そんな子供の頃の光景がたくさん思い出されて、

この映画を見ながら、何度涙を流してしまったか覚えていないくらいです。

都市で暮らす人々が、いきなりここまで隔離された生活を送るのは難しいでしょう。

それもたとえば一年間といった長期間に渡っては。経済的にも社会的にも。

ただし、少なくとも、たまには貨幣に換算できない、こういった暮らしを

味わっておく必要が、動物としての人間には必要なのではないでしょうか。

自然に触れて、食べ物の恵みを感じ、共に働く人に感謝する。

雨が長く降る天候のときには、早く太陽が出て欲しいと願い、

あまりにも晴れた日が続くときには、雨を待ち望む。

足を知るということばを、実体験として理解出来る人は、

とても少ないご時世だからこそ、アラヤシキで生活している人を追った

この作品から感じるものは、とても多いはずです。

映画に流れている光景がスローであることはもちろんのこと、

この映画自体が、スローな展開を心がけてあることもあり、

ほんの117分間の映画の時間に、数年間が過ぎたような感覚を得たような気がします。

インターネット、経済活動などなどによって、時間軸がどんどん短くなるなか、

改めて、自然の時間軸に触れることの意義は、

人間という生き物本来の姿を取り戻すことなのではないか、

そんなことをとっても考えさせられた作品でした。

最近、誰か人の眼をゆっくり見たことはありますか?

動物園でも、ペットでも、自然の動物でも、場所はどこでもいいですが、

じっくりと生き物を観察したことはありますか?

目的なしに旅に出向いたことは最近ありますか?

いずれもNOと思った方は、是非ともこの作品を観て欲しい。

そう、とっても強く思います。そして、すこし時間軸を広くとる練習をしましょう。

きっと、見えていなかった新しい世界にちょっとだけ出会えるはずです。

私は、出会えた気がします。

せっかく思えたこの気持ち、忘れそうになったらヤギを見に行こうと思います。

きっと「アラヤシキの住人たち」の雰囲気を思い出させてくれるはずだから。。。。
アラヤシキの住人たち

JUGEMテーマ:映画
映画 | 01:16 | comments(2) | - | - | - |
コメント
from:   2015/05/27 9:34 AM
深沢さん

まさにそうですね。
自然に触れない時間が長くなると人間からいろいろなものがなくなることを痛感します。
from: 深沢清   2015/05/26 6:11 AM
このような生き方が要る時代になりました。それはあまりにもIT化が進んで、動物人間の生きる場所が無くなりました。人間の原点は動物です。動物に帰れでなく、人間に野性性がいるのです。その時、人間に生きる勇気が出てきます。
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