黒木町日記

実家のある福岡県の黒木町。2010年2月1日をもって、
八女市に吸収され、名前も聞く機会もめっきり減りました。
ちなみに、管理人は東京都暮らしを経て長崎県在住です。
<< November 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
 
ARCHIVES
RECENT COMMENT
  • 今日見た夢の話 〜誇るべき先輩〜
    深沢清 (05/29)
  • 飲み屋のお姐さんに嫌われない方法〜嫌われる7つの振る舞いを避けよう〜
    光 (09/15)
  • 若者よ、失敗を恐るな。
    光 (07/06)
  • 新しいことをやる人々は、周りにエネルギーを与えてくれる。
    光 (06/25)
  • 新しいことをやる人々は、周りにエネルギーを与えてくれる。
    深沢清 (06/25)
  • ホンダジェット 開発リーダーが語る30年の全奇跡 前間孝則著 読了。
    光 (06/03)
  • ホンダジェット 開発リーダーが語る30年の全奇跡 前間孝則著 読了。
    深沢清 (06/03)
  • 農協は地域でなにができるか -大分大山町農協の実践- 矢幡治美 著 読了
    光 (05/05)
  • 農協は地域でなにができるか -大分大山町農協の実践- 矢幡治美 著 読了
    深沢清 (05/05)
  • 人物戦後政治 〜私の出会った政治家たち〜 石川真澄著読了。
    光 (04/18)
にほんブログ村参加してます。
MOBILE
qrcode
PROFILE
無料ブログ作成サービス JUGEM
 
宇都宮浄人著『地域再生の戦略-「交通まちづくり」というアプローチ-』読了

私はこの著書をいすみ鉄道社長ブログにて拝読し、これは絶対に読むべきだと直感し、

Amazonでワンクリックで入手した。

日本銀行調査統計局にて物価統計課長などを務められ、現在は関西大学経済学部にて、

数々の交通に関する調査、提言に当たられている宇都宮氏の交通政策へのアプローチは、

私が長らく探し求めていたものとまさしく合致する内容であった。

交通という経済社会の血流を中長期視野からインパクトを持って変え、

そこから人々のライフスタイルをソーシャルコミュニティ型に変化させ、

新たなまちづくりを行なっていくというアプローチは、私の頭にあった

ぼんやりとしたものをまさに言語化した、宇都宮氏の優れた提唱である。

まず、私自身を振り返ってみると、自宅のすぐに後ろを国鉄矢部線が走っており、

わずか4歳の頃に廃線になったにもかかわらず、小学生時代は図書館にあった

矢部線写真集を暇があれば眺めながら、この鉄路に関わった人々に想いを馳せていた。

昭和60年に八女市を走る唯一の鉄道が廃止されてから以降、

八女・黒木・上陽・星野・矢部・立花といったこの周辺自治体は人口を減らしつつある。

もちろん鉄道だけがその結果を招いたわけではないが、

国道整備がなされていても、他地域からの人口流入には結びついていないのが現状である。

代替交通機関の堀川バスも運行頻度はかなり少なく住民に十分利用されているとは言い難い。

といった身近な地方交通に対する問題意識がそもそも私の中に存在している。

その上で、この新書は以下のような流れで、地域と交通について概観されている。

第1章 地域と交通の負のスパイラル(水戸市などの現状)

第2章 政策の模索(規制緩和、100円バスブーム)

第3章 交通政策基本法の成立(民主党が提起し、自民党が法制化)

第4章 交通まちづくりとは何か(モビリティマネジメントといった考え方)

第5章 芽生える交通まちづくり(富山ライトレール・宇都宮LRT構想等)

第6章 ドイツ・フランスの成果とその背景(公共交通と自動車交通の共存策)

第7章 費用対効果を考える(社会的便益を含めた交通投資の効果測定法)

第8章 ソーシャル・キャピタルという新たな効果(交通が生むつながり活用法)

第9章 これからの日本の課題(中長期的なSTOフレームワークの考え方)

宇都宮氏は、地方再生が謳われながらも、交通機関が次々に失われ、

地方が疲弊していく様を目の当たりにして、住民が主体的に、交通政策に

短期的ではなく中長期的な視野で考えることで、より豊かな地域づくりができると考え、

多くの人々に、その希望の火を探すつもりで、この著書を書き始めたそうである。

書かれ始めたタイミングは、青森県十和田・長野県松代地区で鉄道が廃線し、

井笠鉄道バスが突然破綻したというタイミングのすぐあと、2013年初めだそうで、

この著書の導入部では、地域の厳しい現状を突きつける暗い話題が多い。

しかし、交通政策を大きく転換させる可能性のある基本法が成立したことを契機に、

ヨーロッパで公共交通の進展が街に人々の好循環を見出した事例などをしながら、

どのような方向性が、街を変えていく交通政策となりうるのかと、

希望を待った提言が大なり小なり数多くなされている。

もちろん、新書形式であるので各論には及んでいないだろう。

また、交通まちづくりの課題や展望は、各地域ごとに全く状況が違うため、

そもそも、一括してビジョンを提示できるような代物ではない。

しかしながら、あくまでも住民が主体となり、地域の行政・民間企業・非営利団体などが、

交通政策に対して知見を集約し、街の将来展望を踏まえた取り組みを行っていくことが、

寂れた中心市街地を復活させ、人々の結びつきを強める契機を与えるだろうという指摘は、

日本全国規模の大小にかかわらず、多くの地域に当てはまる視座ではなかろうか。

私がこの著書を手にするきっかけになった、千葉の廃線寸前のローカル線、

いすみ鉄道が様々な施策を打つことによって、年々利用者を増やしている実態を鑑みても、

単年度の採算だけで、その地域に存在する交通機関を決めつけるのは、

地域住民、行政機関、その地域の地場企業、誰にとっても不幸な結果しか招かない。

そうではなくて、1年間、3年間、5年間、10年間、30年間、そういったスパンで、

どのような街が、その地域にマッチしているのか、そしてそれを築くには、

どういった交通インフラを整備することが、全体最適をもたらすのか、

それを求められているのが、都市部でも地方部でも、日本の現状であろう。

政府財源が限られ、経済発展も限度があり、人口自体が減少するなかで、

コンパクトでありながら、様々な人々が交流するまちづくりをするには、

多くの人々にとって、接点となる公共交通機関が存在する必要があるだろう。

そのためには、まず第一歩としてどんな視点が必要なのか、

この一冊をじっくり読み、街を見渡すだけで、おぼろげながら理解できるはずだ。

私も、今後好きこそものの上手なれという言葉を信じて、

もう少し身近な地域の交通まちづくりについて考えて、

どのような30年後の交通機関が、その街を盛り上げているのか、想像してみたい。

ただ、そんなことを考えてみるだけワクワクしてくるのだから。

こんなに精神衛生上よいことはないだろう。
京浜東北線
(写真は2015.8.4架線断線により長期運休した京浜東北線のE233系)

JUGEMテーマ:経済全般
評価:
宇都宮 浄人
筑摩書房
¥ 821
(2015-06-08)
コメント:まちづくりに交通という視点を加えるだけで、より広範囲に、長いスパンでその地域を見つめられるようになるという視点は、この著者なりのオリジナリティ。非常に具体的な点に意義がある。

地域 | 00:58 | comments(3) | - | - | - |
コメント
from:   2015/09/06 7:53 AM
金山さん
あまりまとまりのない文章お付き合いありがとうございます。
from:   2015/09/06 7:52 AM
金山さん
駄文を読んでいただきありがとうございます。
from: 金山 直志   2015/08/08 9:43 AM
すごく心に染み込んでコメントしちゃいました。

交通って何のためにあるのか?
どんな目的があるのか?を改めて考えさせられましたね。
人と人とが交わることが大事なので、長期スパンで考え検証することが大事なんだなと、改めて気づかされました。
ありがたいです。

宇都宮さんの本、購入します!

またブログ読みにきます。
私のブログも読みにきてくださいね。
サラリーマンの方に向けて発信しています。
コメントする









 

(C) 2018 ブログ JUGEM Some Rights Reserved.