黒木町日記

実家のある福岡県の黒木町。2010年2月1日をもって、
八女市に吸収され、名前も聞く機会もめっきり減りました。
ちなみに、管理人は東京都暮らしを経て長崎県在住です。
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新しき民 山崎樹一郎監督作品鑑賞
JUGEMテーマ:映画
権力にはどうせ抗えない。
かといって、地元の人々が権力に立ち向かおうとする動きに表立って反対するわけにはいかない。
引くも後悔、進むも後悔、そんなときどうすれば良いのか?

こんな現代日本にそのまま当てはまるようなテーマを描いたのが、岡山県で作られたこの「新しき民」という映画です。
山崎監督の前作「ひかりのおと」を鑑賞した際に、この作品の構想とティーザ動画を拝見し、この作品は観たい!
そう思って2年以上ですが、その感覚は大正解でした。

この作品は、岡山県の北寄りに位置する津山藩の山中という土地で起こった実際の一揆を背景にして、
それによって生活の基盤を大きく揺らされる農民 治兵衛の姿を通して、そこに生きた人々の営みを描いた時代劇です。

この作品では、統治者藩の考え、平野部の農民の考え、山で暮らす郷民の考え、それがぶつかるなかで、
起こった一揆の中心人物のすぐ側に、治兵衛が位置したために、彼の平穏だった暮らしを一気にめちゃくちゃにしてしまいます。

お腹の大きい妊婦である妻を抱え、百姓仕事にあたりながらも、
罪によって幽閉されている古くからの友人を見舞う心優しい治兵衛。
小作人でありながらも、使用人である庄屋の子どもからも慕われて、夕飯をご馳走になるほど信頼されている彼の仕事ぶり。

平時であるならば、何の問題もなく、米などを作りながら子供を養えるはずですが、
収穫は不作、藩の財政は困窮、しかも藩主継承失敗により藩地没取が噂される事態。
その頃の津山藩は大いに揺れており、百姓ですら自らの食糧を確保することに汲々としている状況でした。
だからこそ、その百姓から食糧供給を受けている山間の郷民はさらに厳しい台所事情であり、藩に対する怒りは著しいものでした。

治兵衛はその混乱を乗り越え、生き残るために余所に逃げて身なりを変えて農具を作る仕事に精を出します。
一揆を止められなかった藩の重役も、職を追われ没落し、商人の使いにその地位を落とし、質素な生活を余儀なくされます。


と、物語は展開するのですが、あまり詳しく書いてしまうと、
これから作品鑑賞する方にネタばらしになってしまうので、ここらにしておきます。

治兵衛を取り巻く環境は、日本という国の経済が決して明るくない21世紀の現代と重なるところがあり、
税金は増え、収入増加はあまり見込めないのは共通しています。
選挙でも、既存与党の勢いが変わる兆しもないですし、
表立って権力に対峙するグループは社会的に少数派に過ぎないのが現実です。

そんな社会的な混乱した時代を生きているのは、考えてみれば、この作品に描かれている幕末に向かう江戸時代だけではなく、
1945年前後にも、1590年前後にも、1334年前後にも、 1192年前後にも、
日本という国全体が混乱に陥った歴史は存在しているのです。
もちろんそれは統治者を中心とした混乱であった時期もありましょうが、
日々を過ごすための仕組みが変わるのは、自らの食糧を自らで作る農民にとっても大きな変化であったことは想像に難くありません。

社会的混乱期に、統治者側に存在しない一人一人の人物が、
周囲に動揺せず人生を歩んでいくには、自分がやるべきことを自分で見つけ、
周囲の人間を敬いながら、新しい時代に希望を持てるために、出来ることを1つずつやっていくしかありません。

この映画でも、武士の家計簿という映画でも描かれているのですが、
社会的な混乱期には、その混乱に乗って名を挙げようという誘いが非常に多くなります。
だから、その誘いに乗らずに、自分で自分の道を切り開こうとするのは並大抵のことではありません。

ただし一旦自分でそのビジョンを身につけた人間は、どんなことが起きようとも、
他人からどんな中傷を浴びようとも、己の信じた道を歩いていくことによって、さらにその自信を深めていけるはずです。

この映画「新しき民」が描いたテーマは、非常に多岐に及んでいて、一度の鑑賞ではそれが十分汲み取れていないところもあります。

岡山には閑谷学校という庶民のための学校が備えられ、自藩・他藩の人材も受け入れ、300年以上にわたって教育が施されてきました。
この学校は、運営費も独立した財源を確保するように工夫され、多数の国を担う有力者が輩出され続けました。

時代を超えて生きること、現実を見据えて自分の力で世の中を切り拓くこと、これはイコールであるはず。
そのようなメッセージが込められた優れた作品でした。

これを作った山崎監督が農家を主に、農閑期に映画を制作されていることは、紛れもなくこの作品の力になっています。
地方創生が叫ばれる今だからこそ、多くの人々に見て欲しい。そう強く願わずにはいられません。

 
映画 | 21:42 | comments(0) | - | - | - |
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