黒木町日記

実家のある福岡県の黒木町。2010年2月1日をもって、
八女市に吸収され、名前も聞く機会もめっきり減りました。
ちなみに、管理人は東京都暮らしを経て長崎県在住です。
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続 マッハの恐怖-連続ジェット機事故鎮魂の記録- 柳田邦男著 読了。

2017年5月15日陸上自衛隊のプロペラ機LR-2が函館空港周辺で

消息を絶ち、北斗市の袴腰山から3キロの地点で機体の一部が発見され、

乗員4名の死亡が確認されました。

 

このニュースの後に、周辺にて1971年7月3日に発生した

「ばんだい号墜落事故」を思い出したとの意見を目にしました。

気になる消息(いすみ鉄道社長ブログ)

私自身は、その当時生まれておらず、

この航空事故のことも知らなかったので、

興味から、その事故について詳しいこの本を手にしてみました。

 

柳田邦男氏の著書は過去に「航空事故-その証拠に語らせる-」を

読んだことがありますが、事故の責任を追及するのではなく、

その事故原因から、如何にその後の航空安全に対しての教訓を

得ていこうとするのかという視点は、非常に有益なものでした。

 

この「続 マッハの恐怖」においては、上記の著書よりも

若干前に刊行されており、ばんだい号事故など、

一つ一つの航空事故に対して、詳しく焦点が当てられています。

 

この著書で柳田氏が航空事故の原因調査に対して

問題意識を持っていることは、事故調査委員会のあり方が、

その事故の要因を丹念に探ることなく、

何らかの原因決めつけの元で進められているという点です。

 

東亜国内航空(元JASの前身)YS-11「ばんだい号」は、

札幌の丘珠空港から函館空港に向かっていたところ、

函館空港から15km離れた横津岳に墜落して、

乗客乗員68名全員が亡くなっています。

当時は、フライトレコーダー、ボイスレコーダーが搭載されておらず、

明確な事故原因も明らかにならないまま、

パイロットの操縦ミスによるものが原因と推定されると、

事故調査委員会は結論付けています。

 

しかしながら、この調査委員会においては、

原因を巡ってはレーダーによる航路解析や、目撃者の証言など、

パイロットによる単純ミスとは言い難い面もあり、

機体の不具合なども発生していた懸念があることを、

この著書では、事故調査委員会メンバーや、

当時のパイロットによる証言などから柳田氏は指摘しています。

 

当時の調査委員会は、十分な情報公開がなされておらず、

また国の体制も事故原因を明らかにして、

その後の安全に役立てようという意識が乏しかったため、

玉虫色の決着を図った点が顕著です。

 

この事故の直後に全日空機と自衛隊機の空中衝突事故、

日本航空では翌年に3件もの事故により多数の死者を出しています。

 

時代は大きく流れて2017年現在、

国土交通省の外局として「運輸安全委員会」が組織され、

航空事故、鉄道事故、船舶事故の原因究明を行なっていますが、

常時大きな調査母体を持っているとは言いがたく、

アメリカの国家運輸安全委員会(NTSB)とは異なり、

運輸部門を取り仕切る国交省とは完全に独立した機関とは言えません。

 

ばんだい号の事故から約46年が経過して発生した陸上自衛隊機の

函館空港周辺への墜落事故ですが、事故から1ヶ月が経過しても、

その事故詳細については、何ら防衛省から発表がされておりません。

現在もLR-2は陸上自衛隊の連絡偵察機として運用されているにも関わらず。

 

この事実を踏まえても、当著で柳田邦男氏が指摘した事実は、

決して過去のものとは言いがたく、

日本の航空事故防止の観点からは今なお有効な声だと感じます。

 

特に、私が強く感銘を受けた文章を最後に引用して、

この著のポイントとしてご案内したい思います。

 

(以下引用)

かつてシステムが単純だった時代には、航空機事故の原因は、

「機械」の側にあるのか「人間」(パイロット)の側にあるのか、

その識別は単純明解であった。

しかし、今日航空機というものが、機体自体のみならず

空港や航法援助施設をも含めた巨大なシステムとして飛んでいる以上、

事故の原因を「機械」か「人間」かという単純な対立要因に分解して、

そのどちらかに”解”を求めようとする二次方程式な発想では、

真の解答は得られないのではなかろうか。

 

”パイロット・ミス”という虚構の”解”が出されるのは、

そのような二次方程式を無理に解こうとするからに他ならない。

 

ジェット時代における「事故原因」の変数は、決してXかYだけではない。

それはある広がりを持った「領域」(フィールド)であり、

その「領域」の中に「機械」の側の要因と「人間」の側の要因とが

複雑に入り組み合い、連続した「面」を構成している。

 

仮に「直接の原因はミスだ」とわかっても、

何らかの誘因なしには「直接原因」としての「ミス」は起こり得ない。

その誘因こそが重要なのであり、誘因という考えを導入するとき、

「事故原因」はやはり「面」で考えざるを得ない。

つまり、「事故原因」とは、たえず多次元方程式であり、

そこにおける”解”はXかYという形ではあり得ない。

 

このような考えを私はあえて「仮説」といったが、

アメリカやイギリスの事故調査における公聴会制度は、

こうした多次元方程式を解く手がかりを与えつつあり、

「仮説」は次第に実証されつつあるように見える。

(引用終わり)

JUGEMテーマ:自分が読んだ本

評価:
柳田 邦男
フジ出版社
---
(1973)
コメント:失敗学という言葉が少し前に話題になった。おそらくその考え方は航空事故など複合的な要因が原因となる事象においてとても重要である。企業経営にも何らかのヒントになること請け合いの名著と言える。

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