黒木町日記

実家のある福岡県の黒木町。2010年2月1日をもって、
八女市に吸収され、名前も聞く機会もめっきり減りました。
ちなみに、管理人は東京都暮らしを経て長崎県在住です。
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地方からの発想 平松守彦著 読了。

私は立場上、地域などからの要望を

行政にお願いする場面によく接するようになった。

【行政主導で、地域づくりを進めてほしい】

言うは易しだが、はっきり言えば責任の主体がぼやける。

 

この著書出版当時、4期目の大分県知事を務めていた

著者の平松守彦氏は、知事就任以前に

通産省の地方振興局審議官を務めたのちに、

副知事として初めて自治体組織に入っている。

 

当時から、行政に対して支援を求めている主体ではなく、

まちづくりを進めるため自らで動いている主体を

さらなる活動に繋がるような後押しする行政を展開していた。

 

この著書が刊行されてすでに27年が経過しているが、

未だに、行政に求める地方が非常に多い現実は続いている。

 

それこそが、自らの魅力を積極的に発信できずに、

東京などからもたらされるものを待つしか手段がなく、

画一的な魅力のない田舎を維持している一つの原因である。

 

私が暮らしている町は、

地場産業が停滞する中で、どうやって地域おこしをやれば良いか、

そのテーマを見つけ、行動の足がかりを掴むために、

他者に頼ることなく、自らで全国の先進地を周り、

色々な取り組みを試行錯誤し続けたリーダーが、

多くの若者を呼び込んだ結果、大きな賑わいをもたらしている。

 

平松氏もこの著書で、繰り返し繰り返し告げている。

『地域づくりは人づくりだと。』

 

平松大分県知事の名前とともに代名詞になったのが、

「一村一品運動」である。

これを始めるにあたり、

多くの新規事業に役人として関わってきた平松氏が、

大切にしていたポイントは以下の通りである。

 

 

(以下引用)

第一番目は、いくら重要だと唱えても

相手には理解されないということ。

説明の仕方が大事だということだ。

大蔵省の予算当局者、国会議員、また一般の人によく理解してもらう。

この説明の仕方を工夫せよということであった。

(中略)

第二番目は、その重要性をわかってもらうためには、

繰り返し繰り返し説明していくということである。

私は「行政はPRである」とよく言う。

PRと宣伝とは違う。PRとはPublicRelations,

つまり一般住民との関係を良くするための広報なのである。

だから、行政の考えることをわかりやすく、

繰り返して説明し、理解を得る。この姿勢が必要である。

 

三番目は、先取りしていく政策を実現していくためには、

自分自身が積極的に現場に出かけ、

現地の人の話を聞きながらやっていくということである。

公害課長の時には、

実際に公害防止の担当技術の人たちから話を聞いた。

(中略)

もともと通産省には大きな予算がなく、許認可権も多くない。

通産省が自身で予算を使い行政をすすめるというよりも、

それぞれの関係業界に勉強してもらう方が得策であった。

(中略)

一村一品をやるにしても、大分県民が自主的にやる気を

起こすことが大切で、それを行政がバックアップする。

それぞれの地域で競争意識を持たせるということを考えた。

これには通産省での経験がいくらか役立ったと思う。

(引用終わり)

 

 

大分県知事に就任した平松氏は、これからの大分県を

活性化する一つの道として、

それぞれの地域が地域の誇りとなる産品を

つくりあげていこうと、一村一品運動を提唱した。

 

この結果、多くの失敗例・成功例が生まれたが、

成功した地域には共通したポイントがある。

 

それは、いいリーダーがいたということである。

リーダーとは ”コロンブスの卵を生む人”

ではくてはいけないと平松氏は指摘している。

 

 

(以下引用)

一村一品運動は単なる特産品づくりじゃないか、

といわれれば一言もない。

 

しかし、その特産品を生み出すに至るまでの

人間の気力、やる気をどう起こさせていくのか。

人がやったことに「ああそうか」とうなずくことはやさしい。

 

だが、最初にコロンブスの卵を立てた感動が

部下を感動させ、精神を高揚させるのである。

リーダーは常にコロンブスの卵を生み続ける男でなければならない。

創造的破壊、破壊的創造。

常に逆転の発想を持つことだ。

(引用終わり)

 

大分県の一村一品運動は、全国で取り入れられ、

世界中からの関心を集めるまでの実績、注目度を発揮した。

また、同時並行で平松知事は、企業誘致も積極的に進め、

それまでに大分県になかった技術主導企業を招き寄せた。

 

ただし、そこでも決して外部企業を分別なく呼んだわけではなく、

地域経済にとっても長期的な良い影響をもたらし、

なおかつ元々地域に存在した農業や漁業に従事する若者を

増やすための仕組み作りにも様々な工夫を行なっている。

 

 

大分県は、キリシタン大名大友宗麟が

九州全体を勢力圏に置いたのも束の間で、

16世紀末から明治に至るまで、天領を含め小藩が分立していた。

また地形が複雑で、全面積の70%が林野、平野も限られるなど、

文化・経済ともに意識統一が難しいのが土台として存在する。

 

だからこそ、明るい大分の未来をもたらすには、

それぞれの地域が自らの良さを発揮する土壌を見出すために、

歴史・地理的にも、一村一品運動が必要だったのである。

 

 

遡れば日本列島改造論が叫ばれた頃から、

地方創生が訴えられている現代に至るまで、

東京一極集中を打破していくための特効薬は存在しない。

 

だからこそ、政府が考える方針を受ける自治体の術に乗った

地域おこしを進めるよりも、

自らの課題を自らで少しずつ変化させようという動きが、

弱いようで力強いものとなることを、

27年前から平松氏は訴えている。

 

この指摘は現在でも全く古びていないし、

一村一品運動のフロントランナーであった、

大分大山町農協が現在も政府から着目されている現実を踏まえても、

改めて、平松氏の著書を手にとってみる価値はある。

 

それが、私がこの著書を読み終わって感じる想いである。

さて、今年は何度か大分に足を運んでみよと思う。

自らが暮らしている町に欠けているポイントを探すためにも。

JUGEMテーマ:自分が読んだ本

評価:
平松 守彦
岩波書店
---
(1990-09-20)
コメント:地方創生のモデルは、今では色々な地域が取り上げられている。けれども、果たしてその仕組みは10年後も成果を上げ続けているのだろうか?事例は古いかもしれないけれど40年以上実績を上げている大分モデルを振り返っても遅くないと思う。

読書 | 23:59 | comments(0) | - | - | - |
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