黒木町日記

実家のある福岡県の黒木町。2010年2月1日をもって、
八女市に吸収され、名前も聞く機会もめっきり減りました。
ちなみに、管理人は東京都暮らしを経て長崎県在住です。
<< June 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
 
ARCHIVES
RECENT COMMENT
  • ホンダジェット 開発リーダーが語る30年の全奇跡 前間孝則著 読了。
    光 (06/03)
  • ホンダジェット 開発リーダーが語る30年の全奇跡 前間孝則著 読了。
    深沢清 (06/03)
  • 農協は地域でなにができるか -大分大山町農協の実践- 矢幡治美 著 読了
    光 (05/05)
  • 農協は地域でなにができるか -大分大山町農協の実践- 矢幡治美 著 読了
    深沢清 (05/05)
  • 人物戦後政治 〜私の出会った政治家たち〜 石川真澄著読了。
    光 (04/18)
  • 人物戦後政治 〜私の出会った政治家たち〜 石川真澄著読了。
    深沢清 (04/18)
  • 地方を動かすためには考え方を「半官半民」にすべきかもしれない。
    光 (04/17)
  • 地方を動かすためには考え方を「半官半民」にすべきかもしれない。
    深沢清 (04/17)
  • 日本会議の研究 菅野完著読了。何故、籠池理事長が一生懸命になるのかを知るための好著
    光 (03/21)
  • 日本会議の研究 菅野完著読了。何故、籠池理事長が一生懸命になるのかを知るための好著
    深沢清 (03/21)
にほんブログ村参加してます。
MOBILE
qrcode
PROFILE
無料ブログ作成サービス JUGEM
 
AIが同僚-あなたはたのしく一緒に働けるか- 日経BP社発行 読了。
評価:
---
日経BP社
¥ 1,620
(2017-01-20)
コメント:AIを自社のビジネスに活用している企業・組織の最新事例集が採録されている。是非これから社会人になる人にも手に取っていただきたい一冊。

これまでAIの考え方、アメリカなどでの導入事例、

日本でも活用者のインタビューを再録した書籍は多かったが、

企業の活用事例を具体的に紹介した本は初めてと言っても良いだろう。

 

日経トップリーダー及び日経ビッグデータという、

企業人特定層向けの媒体に取り上げられたAIを導入した

日本の最先端企業事例を30以上紹介しつつ、

それらを導入・活用している識者の「AI考」をインタビューしている。

 

AIの導入なんてまだまだ日本では進んでいないと考えている方が、

以下の組織で積極的に活用を進めていると聞いた時、

果たして他人事でいられるだろうか。

本当に業種・事業形態を問わず爆発期に差し掛かっている。

 

リクルート

野村総合研究所

ダイキン工業

ハウステンボス

三菱東京UFJ銀行

みずほ銀行

三井住友銀行

千葉銀行・第四銀行・中国銀行・伊予銀行・東邦銀行・北洋銀行

いすゞ自動車

はるやま商事

Casy(クラウド家事代行サービス)

米エアビーアンドビー(Airbnb)

三越伊勢丹

トライアルカンパニー

IDOM(旧ガリバーインターナショナル)

JINS

あきんどスシロー

ファナック

アサヒビール

アスクル

日立物流

ビズリーチ

住友電装

SUSQUE(勤怠情報から退職確率を算出)

FRONTEO(電子メールから情報漏洩恐れ社員を抽出)

ソフトバンク

大林組

ワークスアプリケーション

日立製作所

三菱商事

富士フィルム

東京大学医科学研究所

大丸松坂屋

サイトビジット(資格試験のオンライン学習サービス)

米マジスト(写真や動画を自動編集)

マッキャンエリクソン(テレビCMをディレクション)

 

もっともっと企業名・団体名は登場しているが、

少なくとも上記に挙げた組織は、

自らの業務をより前向きに変化させていくために、

AIを使ったシステムを積極的に活用している。

 

この著書のタイトルにあるように、

AIを使ってこれまでに社員が行なっていた作業を

何らかの形で肩代わりさせる「同僚」として。

 

もちろん、その過程の中でこれまで人間がやっていた

業務内容を積極的に見直し、

AIが得意とする大量データから規則性を見出し、

特定の業務を省略化する作業を次々に見出している。

 

いずれの企業でも他社動向以上に、

自らが抱えている経営課題を改善していくために、

自社に必要なAIの仕組みはどういうシステムなのかを

積極的に考えようとしているところが、非常に興味深いものであった。

 

まだまだAIを産業界に取り入れられてから時間は短いが、

驚くべきスピードでその普及度は高まっている。

 

2020年には、ただ誰かが構築したAIのサービスを使うのではなく、

自らの組織で新しいAIの仕組みを生み出した企業が、

事業全体としても、同業他社を上回る競争力を得るのは、

ほぼ確実と言えるのではないだろうか。

 

その時代環境の中では、社会人を作り出すための、

教育環境も変化を余儀なくされ、

またこれまでICTに関心が薄かった社会人も変化を求められる。

 

とにかく、まずは色々な意味で活用され始めている

AIの仕組みがどうやって動いているかを知り、

自社のビジネスに何らか活用することはできないのかと、

考えてみることを早急に行う必要がある。

 

それが2020年代を面白く生きるスキルであることは間違いない。

この著書はビジネス事例集としてだけ捉えるのは勿体無い。

色々な可能性を考える参考書として活用してほしい。

JUGEMテーマ:ビジネス

読書 | 08:19 | comments(0) | - | - | - |
AIの衝撃〜人工知能は人類の敵か〜 小林雅一著読了。
評価:
小林 雅一
講談社
¥ 864
(2015-03-19)
コメント:刊行から2年が経過しているが、AIの大枠を掴むにはよくまとめられた新書。人物紹介が豊富な点もすぐに活用できる点。

AI、その言葉を企業のニュースで聞かない日はないような状況となっている。

この著書のサブタイトルにあるように、人工知能は人間の仕事を奪うのではないか、

そんな懸念からこのトピックスにあえて近づかないようにしている人もいるのではないか。

 

しかしながら、まずは人工知能とは何なのか。

どういった歴史的経過があって研究され、事業に活用されるようになったのか、

現在はどのような使われ方をして、今後はどのような展開が見込まれるのか。

 

せめてこの程度を知っておいても、日々の生活に有害どころか、

知らないまま、世の中が進むことを指をくわえて見ていると、

AIを巧みに使いこなし、新しい時代を切り開く人との差は開く一方である。

もちろんその結果、生活レベルを落とさざるを得ない結果になる。

それを全く問題ないと受け入れられる人以外は、せめて関心を持って欲しい。

 

前書きはこの程度にして、この著書が登場して2年以上が経過して、

取り上げられるAI活用事例は刻々と変化しているが、

この著書に書かれているAIとの付き合い方は全く色褪せないので、

その部分をご紹介したい。

 

本著最後にある著者私見部分より以下引用。

————

(前略)

つまり汎用的な知識までもコンピュータやロボットに抜かれたときに、

「知能を武器として生き残ってきた人類そのものが、実は大したものではなかった」

とする自虐的な思想です。

 

しかし、そうした事態はおそらく起きないでしょう。

それは「知能」が人間に残された最後の砦ではないからです。

それを上回る「何物か」を私たち人間は持っているのです。

 

それは、ある能力において自分よりもすぐれた存在を創造し、

それを受け入れる私たちの先見性と懐の深さです。

 

蒸気機関からコンピュータ、そして産業用ロボットまで、

私たち人間はあえて自らの雇用や居場所を犠牲にしてまで、

人類全体の生存と繁栄を促す新たな技術を開発し、それを受け入れてきました。

 

これは単なる「知能」という言葉では表現しきれないほど大きな「何か」です。

このように将来を見据えることのできる叡智と包容力こそが、

私たち人間に残された最後の砦なのです。

————

 

著者は、この本を通じて多くのAIの進化の可能性について触れ、

人間が果たす役割の多くが人工知能に取って代わられることを解説する。

 

だからこそ、これまで人間が行ってきたことの多くが、

コンピュータやロボットが行う作業に変化することを前提に、

我々人間はそれをうまく活用していく立場に変化することの必要性を説く。

 

 

人工知能によって金融危機を契機に大きく資産を増やした人物の話。

ディープランニングと呼ばれる機械学習についての解説。

グーグルなどのIT企業がAIによって多くの個人情報を収集する雰囲気。

次世代ロボットに対するアメリカ及びEUと日本の開発ベクトルの違い。

将棋ソフトでプロ棋士を破るまでに至ったAI開発の経緯。

楽曲を制作するソフトが作った音楽に人間が拍手喝采をしたエピソード。

 

 

挙げればきりがないが、人工知能がこれまでに起こしている事実を通じて、

世の中がどのように変化するのかを概略的に理解するには格好の新書になっている。

 

世界各国でAIを巡る研究が加速し、

実際の産業に取り入れらる事例が増える中、

AIやロボットなど人工物と人間がどんな付き合いをして、

その結果世界がどう進むのだろうと考えることこそ、

これからの時代を面白く生活するために、必要な頭の体操ではないだろうか。

 

この本に類似した本は、今後多々刊行されると思われるが、

「AIの衝撃」がホットなのは、数多くの人物を取り上げていること。

 

それらの人々の現状を追えば、2年が経過していも間違いなく、

最新のAI事情は掴めてくるはずである。

たAI開発の経緯。
楽曲を制作するソフトが作った音楽に人間が拍手喝采をしたエピソード。


挙げればきりがないが、人工知能がこれまでに起こしている事実を通じて、
世の中がどのように変化するのかを概略的に理解するには格好の新書になっている。

 

世界各国でAIを巡る研究が加速し、産業に取り入れられる事例が増える中、
AIやロボットなど人工物と人間がどんな付き合いをして、
その結果世界がどう進むのだろうと考えることこそ、
これからの時代を面白く生活するために、必要な頭の体操ではないだろうか。

 

この本に類似した本は、今後多々刊行されると思われるが、
「AIの衝撃」がホットなのは、数多くの人物を取り上げていること。

それらの人々の現状を追えば、2年が経過していも間違いなく、
最新のAI事情は掴めてくるはずである。

JUGEMテーマ:ビジネス

読書 | 17:15 | comments(0) | - | - | - |
ブロックチェーンレボリューション読了。ビットコインを支えるブロックチェーンという仕組みがインターネットを大きく変える。
評価:
ドン・タプスコット,アレックス・タプスコット
ダイヤモンド社
¥ 2,592
(2016-12-02)
コメント:ビットコインは怪しい?そう感じている人にこそ読んでいただきたい、その技術のインパクトを様々な面から論じた一冊。

インターネットが世の中に一般化して20年以上が経過し、

社会を取り巻くいろいろなものが変化した。

しかし、その歴史が始まって以来今までずっと、

その情報はどこかのサーバーに集約され、どの端末やモノから

発せられる情報ですら、誰かの媒介がなければ

存在しないものとみなされていました。

 

しかし、ブロックチェーンの仕組みは、

あるプログラム自体が信頼を作り出すことによって、

第三者を介することなく、

やり取りされるデータに嘘がないことを根拠に、

複数の当事者間で直接信頼された取引を取り交わすことが可能になります。

 

つまり、ある人が持っている通貨を誰かのお墨付きで

安全と定義するのではなく、

その通貨自体が信頼性を定義されているので、

その人がどこでその通貨を使っても認められる仕組みを

手にしたようなものと言い換えられるのではないでしょうか。

(この例えが適切ではないとするならば、

適切な例示を方法を教えていただければ幸いです )

 

 

インターネットでの情報のやり取りに対しては、

アメリカ国防総省から始まって変遷がありつつも、

どこかの大きなシステムが情報を一元的に集約できることを

前提に仕組みが形作られてきました。

もちろん、その管理者は時代によって変化しつつも、

GoogleがAmazonがAppleが現在、かなりの数の

ユーザーの個人情報を収集しているのは周知の事実です。

そして、それが多くの政府機関に伝えられていることも。

 

もともとインターネットは、何らかの中央集権機関から

情報を分散させることがその普及のメリットだと、

宣伝されていたにもかかわらず。

 

しかし、ブロックチェーンの仕組みを使っている

ビットコインという仕組みは、

どこの政府機関が信頼性を担保しているわけでもなく、

取引所を通じて、世界中の通貨とその価値が交換されています。

 

2017年2月6日現在1ビットコインが117,500円ほどで取引されています。

ビットコインの発行総額をドルに換算すると

168億ドル(およそ1.9兆円)の市場価値が存在しているとのことです。

ちなみに、千葉県の平成28年度の当初予算規模が約1.7兆円。

 

この自律的なブロックチェーンという枠組みは、

お金の流れだけではなく、様々な情報を発信者主体で

紡いでいく仕組みであるために、それを取り扱う人間が

意図的にコントロールすることが極めて難しくなっています。

 

モノがインターネットに繋がるIoTの仕組みや、

一定のルールに基づいて自律的な処理が行われるAIと、

このブロックチェーンの基幹になる合意形成の仕組みが

組み合わさることによって、

多くの人間がコントロールしていた仕組みが自動化されていきます。

 

もちろんこのことで、現在の人間生活にとって

不便に感じることも生じるでしょうが、

社会は人間への負荷を減らしつつ、自律的に動いていくことも可能です。

 

ブロックチェーンの普及如何にかかわらず、

インターネットのさらなる進化によって、

人間の生活は間違いなく変化せざるを得ない時期が、

刻一刻と迫っています。

 

先進国の国民よりも、途上国の国民の方がその恩恵を受けることが、

多いだろうことは容易に想像できます。

何故ならば、イノベーションのジレンマでも明らかなように、

様々な便利なものを手にしていないからです。

 

だからこそ、最も考え方を変えなくてはならないのは、

我々、先進国に暮らす一定の所得を持ち、

ある程度の教育を受けた人間なのかもしれません。

 

インターネットはそれまでの社会をわずか20年ほどで大きく変えました。

きっと、これから起きてくる社会変化は、もっと短い期間なのでしょう。

 

その時期に、どんなことが起きて、

どうすればその世の中で自らの存在感を発揮できるか、

今の現状を一旦脇に置いて、ちょっと考えてみるのは、

今後の世の中を生きていく上で、

全く無駄にならない思考実験だと私は考えています。

JUGEMテーマ:読書

読書 | 16:48 | comments(2) | - | - | - |
人工知能が全盛になる時代に向けて労働者が行うべきこと

AI(人工知能)やIoTなど様々なインターネットに関連する

用語が飛び交う中で、自らの生活には大した影響がないと

楽観視している人は多いのだろう。日本でもアメリカでもその他でも。

 

しかし、ちょっと振り返ってみると、iPhoneが発売されて

10年足らずだが、スマートフォンがない生活は考えられない。

もう少し振り返ってみると15年くらい前に普及し始めた

携帯電話がない生活は日本ではすでに考えられないのが現実だろう。

 

つまり、インターネットなど情報をやり取りする世界において、

この20年で世界は大きく変化し、それに応じて経済活動も

ダイナミックに変化しているのが現実である。

 

一方、日本人の社会生活はあまりに大きく変わっているようには思えない。

例えば東証上場企業には、20年前から変わらず存在する企業も多い。

 

しかしながら、今後20年を見据えてみると、

きっとインターネットを活用している企業や個人と、

そうではない企業や個人とでは大きな所得格差が生じることは間違いない。

 

何故ならば、インターネットを活用する企業は、

考え方でビジネスを行なっているので、コストを極限に抑える一方で、

出来るだけ広範囲のユーザーを確保することで、

利益を独占的に得る仕組みを形作ろうと革新続けるからである。

様々なコストを掛けて巨大プラントを維持する既存企業を尻目に。

 

この辺りのことをピンと来ない方は、是非とも

クレイトン・クリステンセン著「イノベーションのジレンマ」を一読いただきたい。

 

今日は、ちょうどニュースで人工知能がポーカーでプロ4人に勝ち、

2億円超のチップを獲得したという報道がなされていた。

単純に考えてみても、情報を蓄積しその解析をし続けることで

進化を無尽蔵に続けられる仕組みが、人間に勝つのは時間の問題である。

 

アマゾンドットコムが猛烈に商品ラインナップを増やし続けるにも関わらず、

商品ラインナップを投下するバイヤーの数が、

リアル店舗を運営する企業に比べて圧倒的に少ない理由は、

膨大なお客様の購買履歴データから、

適宜必要な発注量を明確に弾ける仕組みがあるからである。

 

インターネットが世の中に普及することによって、

情報を様々な人々、様々な機械、様々なシステムが共有するようになった。

このことで、それを解析することで、近未来の行動を予測できるようになった。

 

ある人間が、次にどんな検索を行い、それによってどんな消費行動を

もたらすかを予測することによって、広告を表示させているのは、

人工知能と呼ばれるかどうかわからないが、人手以外の仕組みによるものである。

 

アップルのiPhoneに搭載されているSiriという仕組みも、

インターネットを活用することで、ユーザーが呼びかけを行う

問いかけに対して無数の情報を解析して答えを行なっている。

 

その回答は、毎日世界中で、

ものすごい数のユーザーが行うやり取りを踏まえ、

日々進化し続け、より的確なものであるべく自動で更新されている。

 

 

情報に関する限りにおいて、すでに人間が機械とかそれを司る

システムに勝てるはずがないのが、2017年の今の現実である。

 

それを理解した上で、いかに情報をシステムに頼りながら、

日々の生活を営んで行こうとするのか考えることが、

これからの時代を生きていく上で必要不可欠なスキルである。

 

そうであるならば、何かを記憶するだけの勉強が無意味なのは自明である。

色々な情報を組み合わせて、自分なりの楽しみ方(オリジナリティ)を

他者に伝えることができる人が、

社会から仕事を得られるのが、これからの世界である。

 

その意味で、労働者としてやるべきことは、

まずこれまでの概念を一旦脇に置いて、

世の中が向かっている大枠を掴むことではないだろうか。

 

何故、Facebookが、Googleが、Amazonが、Microsoftが

時価総額を増やし続ける一方で、

日本の伝統的IT企業がそのレベルで時価総額を増やすことができないのか。

 

それは、ゲームを変える仕組みを、

自ら作り出そうとしないからに他ならない。

 

であるならば、ロボット技術など特定の分野で、

日本企業でありながらGoogleなどに買収された企業は、

自らで新しい仕組みを作り出しているに違いないと考えることができる。

 

その感覚を他人の解釈ではなく、

自分自身の問題意識でピンとくる人は、

AIなりIoTなりが全盛になってきても、

どんな企業が伸びて、どんな企業が廃れるのか、

目利きができ、自分自身の仕事を取捨選択できるようになるはずだ。

 

さて、以下の本を読んでワクワクした感動を元に、

上のように雑感を綴ってみたが、私自身まだまだ、

今後の日本における注目企業を見出せるまで知識が達していない。

もう少し、STEMについて体型的に勉強しなくては。

JUGEMテーマ:ビジネス

評価:
ジェリー・カプラン
三省堂
¥ 2,700
(2016-08-11)
コメント:今後の世の中がどう展開していくのか、経営・政治・教育など様々な点から具体的な事例を踏まえながら解説された一冊。読んでいて全く損しない内容。特にこれから仕事を始める人に読んでほしい。

読書 | 23:42 | comments(2) | - | - | - |
TSUTAYA創業者の一人 村井眞一 著「商売人人価」これからECをやる人の必読書。
評価:
---
---
---
()
コメント:人間の本質、商売の本質、小売の歴史、今後のビジネスのあり方、様々な知見与えてくれるコンパクトかつ重みのある一冊。必読書。

私は、たまたまこの本を佐賀県有田町の一書店で手に取った。

先入観から、町の本屋に大したビジネス書は置いていないだろうと、

舐めてかかったが、立ち読みでこの本に出会って感動した。

これは間違いなく、今後私がビジネスをやっていく上で、

座右の銘になると確信した。

 

買い求めて、フェイスブックに数行告知をしたところ、

早速その書き込みだけで、

私のAmazonアカウントから3件の注文を頂いていた。

このインパクトは、藤田田氏の「ユダヤの商法」以来である。

 

改めて、しっかりじっくり読んでみたので、

エッセンスを少しだけ紹介したい。

 

著者の村井眞一氏は、アパレルチェーンの鈴屋でバイヤーをしたのちに、

増田宗昭・伊藤康史氏とともに、TSUTAYAを運営するCCCを

創業し、800億円企業に成長させたシステムを作った張本人である。

その後ファンド勤務を経て、熊本の企業を80億円で買収、

2015年にはその企業の年商は200億円近くにまで成長している。

その会社をも離れ、再び小売業のシステム構築をサポートする、

AMSという企業を作り、さらなるチャレンジに取り組まれている。

 

この著書「商売人人価」では、現代小売の本質について、

6つの章立てで説明をなされている。

 

1.TSUTAYAが日本最大のレンタルチェーンになった理由

2.ファッション業界で飛ぶように売れる店の秘密

3.風通しの良い組織が売上をあげる

4.売れる店が守っている「商売人人価」の法則

5.Eコマースからネクストコマースへ

6.ネクストワールドの創造に向かって

 

つまりは、6章は今後の展望と、そこでどのように

我々は生活していくべきなのかまでテーマを広げられている。

 

この目次だけでも内容をそそられる人が多いだろうが、

この著書価格は、わずか1080円でページ数は191p、

決して読みにくい本ではない。

しかしながら、ドラッガーも、ゴールドラットも、

ローマ人の物語も、様々な「組織論」のエッセンスが盛り込まれている。

 

それでいて、主となるテーマは小売であるので、

多くのビジネスを経験し、本質を捉えた村井氏の視点は、

EC(インターネット通販)であろうと、大店舗であろうと、

町の小さな商店であろうと、レストランであろうと、

お客様を対象にビジネスを行う人が必要とされているポイントを、

この著書で惜しげも無く提供している。

 

著書の帯には、株式会社TSUTAYA 能登康之氏が

「何度、この言葉に救われたことか。この本は、商売人のバイブルです!」

とのコメントを寄せているが、決して大げさではないと、

私自身は、痛感し、繰り返し読み返していきたいと感じている。

 

特に、私自身通販サイトの運営に携わっていて、

商売のポイントは、商品であることを痛感していたので、

村井氏が何度も繰り返される売れる店の要諦には納得しきりである。

 

商・・【商品】・・良い商品を扱っているか(仕入れ)

売・・【売場】・・良い売場になっているか(規模、陳列、提案)

人・・【売場】・・接客、トレーニングはどうか

人・・【お客様】・・集客、販促、サービス

価・・【価格】・・価格戦は最後/経営判断で行うこと

 

とにかく、騙されたと思って手に取っていただきたい一冊である。

JUGEMテーマ:読書

 

読書 | 21:19 | comments(0) | - | - | - |
ザ・チョイス-誘惑に惑わされるな!-エリヤフ・ゴールドラット著 読了。
評価:
エリヤフ・ゴールドラット
ダイヤモンド社
¥ 1,727
(2008-11-08)
コメント:小売業・卸売業に関わる方には1度目を通していただきたい。

私がこの著書の巻末で、本著のエッセンスだと感じたのは、

最後の主人公ゴールドラット博士と娘のやりとりである。

———————————————————

「悲観主義者?」

「そういうものもあるかもしれないが、『実践的先見者』って言うんだよ。

自分が将来どうなるか、それは自分自身の選択次第なんだ。

いいかい、エフラット。

楽観的というのと、安易であるというのは違う。混同してはいけない。

 

それからいま、お前が教えてくれたいくつかのポイントだが、

裏返して考えてみれば、それは、他人に責任を押しつけたり、

環境のせいにしてはいけないということだ。

あるいは、自分のコントロールの及ぶ範囲じゃないとか、

自分の能力を超えているなどと言ってはダメだ。

 

自分自身の人生なんだから、自分ですべて責任を持たなければならない。

そうすることで、充実した有意義な人生を送ることができるようになるんだ。

だけど、それは決して簡単なことではない。

 

人というものは、愚痴をこぼしたり、

不平不満を言ったりするのが大好きな生き物だ。

だが、実際、私はそうした愉しみとは、

おさらばしなければならなかったんだ。」

 

私は笑いながら言った。

「それは、残念だこと。でも、充実した有意義な人生が送れるんだったら、

そんな愉しみ、私も喜んでさよならするわ」

———————————————————

 

この本を手に取ったきっかけは、ジャパネットたかたの創業者である

高田 明氏の講演会で、この本の内容を何度か紹介されたためだ。

 

書かれている内容は、

企業においても、個々人においても、

その存在価値を高めるために、周囲の環境に左右されることなく、

あるべき姿をいかに目指すのか、

どれだけ単純化して考えるかということに、

大きな突破口があるのではないかという、一つの提案であった。

 

社会を担っている一人一人においても、企業においても、

目先の困難をついつい他人のせいにしてしまう。

自らが行なっている行動が、社会に広く認められないために、

その困難を生じさせているとしても。

 

それに気がつき、その問題を解決させるには、

物事を単純に考え続け、その本質はどこにあるのかを探り、

それを踏まえて行動をとり続けるほか、全ては回り道に過ぎない。

 

それを頭の片隅に置きながらも、人間は楽な方に流れがちで、

物事の中心になかなかぶつかっていこうとしない。

 

ゴールドラット博士の指摘は、私が師から何度も

与えられた忠告を繰り返すものであった。

師がなくなった時に、この著を読んでいたのはきっと偶然ではない。

 

誰かのせいにして世の中を批判して何かが変わっても、

結局そこに、自らの満足感はさほど得られない。

自分自身が変化したことによって、少しでも世の中が

変わっていく雰囲気が得られるのであれば、ワクワクは広がる。

 

ちょっと考えてみると至極当然のことながら、

ある程度、世の中に逆らって行動してみないと感じないことでもある。

 

私自身は、そんな人が周囲にたくさん存在した人生を歩んできた。

きっとこれからもそんな人生を歩むのだろう。

 

その時に、常に意識しておきたい。ゴールドラット博士の言葉を。

 

・人はもともと善良である

・すべての対立は解消できる

・ものごとは、そもそもシンプルである

・どんな状況でも飛躍的に改善できる

・すべての人は充実した人生を過ごすことができる

JUGEMテーマ:読書

読書 | 20:35 | comments(0) | - | - | - |
シルバー民主主義-高齢者優遇をどう克服するか-八代尚宏著 読了
評価:
八代 尚宏
中央公論新社
¥ 842
(2016-05-18)
コメント:年金・介護・医療など社会保障に対する財政支出は増える一方で、財源は国債に頼らざるを得ない現実。どうやってこの現状を少しでも改善するか、コンパクトにまとめた新書は非常にビビッドである。

八代尚宏先生の論考は、人口問題について卒論を書いた

大学時代に多少目にしていたのですが、70歳の先生に、

ここまで現実の高齢者優遇を斬られるとは思いませんでした。

35歳の年功序列労働に従事していない人間としてはスカッとします。

 

この著書で全体を通して指摘されているのは、

現在の社会保障制度・大企業の労働環境は、

高齢者比率が急速に増大する日本の現実に即しておらず、

現状を維持することで制度自体の存亡を揺るがし、

結果、高齢者の生活を脅かすものであるということです。

 

年金制度改革法案が成立し、カット法案と非難される現状ですが、

現実として、GPIFの運用成功如何に関わらず、

年金積立金は年々減少しており、一般財源からの補填は増える一方です。

もちろん、それはつまり国債の発行残高が増えるということ。

 

今の現実負担を非難するのはたやすいことが、

次々に増える国の借金に目をつぶって、

将来の国債引き受け手がいなくなった時に、

年金の大幅受給額カットという究極のリスクに目をつぶっていても、

何も問題は解決しないと、この新書では様々なデータを

示しながら、現実とその解決策を示されています。

 

 

現実として、年金制度改革をめぐる政治的な動きは進みません。

同じことは、医療制度改革にも当てはまります。

年々財政支出は増える一方で、その財源確保は後回しにされています。

 

また、大企業を中心として新卒採用、長期正社員優遇制度は改まりません。

もちろん、経済発展が見込めない中で、それを保管する派遣労働者の

割合が増えていることが大きな支えになっているのですが。

 

この著書で八代氏ははっきり提言します。

所得再分配は、高齢者間で行うべきだと。

高所得者が低所得者に対して税金を通して生活を保障する。

 

その結果、現在は若年労働者が高齢者に対して負担している

社会保障費を、若年の社会的弱者に回すことで、

真に支援を必要として未来ある人々に配分することができると。

 

年金制度や、国民皆保険制度、年功序列賃金制度など、

現在も行われている制度の多くは、製造業を中心として、

日本が右肩上がりの経済成長を遂げていた時期に制度設計されています。

 

時代に合わせて微調整はされてきているものの、

基本的に考え方は、当時のままで、

現在の高齢者割合が増加し、若年労働者が減少する時代には、

全くマッチしていないと八代氏は繰り返し指摘しています。

 

もちろん、それを理解している有権者も多数存在するでしょう。

しかしながら、前面からこの問題に対して、

問題点と解決策を提示できている政治家なり、政党は現在皆無です。

 

日本を除く先進国では、大きな政府を目指す政党がある一方、

小さな政府を目指す政党が存在し、その両者が政権獲得を目指し、

激しい争いをしているにも関わらず、

この国は与野党どちらも、低負担高福祉の政府を志向しています。

 

鶏が先か、卵が先か、いろいろな分野で繰り返される議論ですが、

国や地方の財源が、社会保障関連費用に占められて、

その他の事業が立ち止まる現実までに残された時間はそう多くありません。

 

私自身、一人の地方議会議員としてそのことを切に感じます。

 

是非とも、この著書を手にとっていただき、

近視眼的ではない、社会保障制度のあり方について、

いろいろな立場から議論が深められることを強く願います。

これから、子どもを育てていく親世代として特に。

JUGEMテーマ:経済全般

読書 | 00:18 | comments(0) | - | - | - |
子供の貧困が日本を滅ぼす-社会的損失40兆円の衝撃- 日本財団子どもの貧困対策チーム 読了

「子供の貧困が日本を滅ぼす」センセーショナルに書かれたタイトルに、

少しでも関心を煽るための新書だからこう名づけたんだろう、

そう訝しがる方にこそ、この著を手に取って現実を目の当たりにしてほしい。

 

私は、今年3月まで一年ほど中野区において中学生向けの

無料学習支援を行う活動にボランティアとして参加させていただいた。

 

 

そんな自らを振り返ると公立の四年制大学を卒業して、

何の不自由もないように東証一部上場企業に就職できたものの、

田舎で生活する高校中退の父親と高卒の母親に育てられた。

 

保育園に通う時期から共働きであり、

社会的な躾の多くは地域社会にいた大人達からだった。

大学進学に関わる費用は祖母の蓄えがあったからこそだった。

つまり、私自身が貧困した子どもでなかったのは偶然だと言える。

 

子どもの貧困が、社会問題として大きなテーマになり、

国も法整備を進め、自治体もそれぞれに具体的な対策が行われているが、

まだまだ全国的に他人事だと考えている人が多いのが現実である。

 

 

この新書においては、子どもの貧困について、

その結果が日本社会へ与えるインパクトについて、

経済的な推計を行い、当事者・経験者へのインタビューを行い、

どうすれば子どもの貧困連鎖を防げるのか仮説を提示し、

アメリカの貧困対策プログラム研究結果を紹介し、

政府・自治体・NPOの具体的取り組みを案内している。

 

つまり、この一冊227ページをめくることによって、

子どもの貧困とは何なのか、どういったことが問題で、

社会全体にどの程度影響をもたらすのか、

どうすればそれを解決できるのかといった全体像を掴むことができる。

 

地域社会の結びつきが希薄になっている時代と言われて久しいが、

子どもを取り巻く社会的環境は年々厳しさを増している。

それはつまり、日本人全体が遠く未来よりも、

目先の事実に追われているという事実の裏返しとも言える。

 

しかし、この著書から見えてくる事実は、

子どもの頃に社会的な関わりを身につけた人々が

世の中に増えれば増えるほど、

社会全体に自らの力で歩んでいこうとする大人が増えるという実態である。

 

私自身を振り返ったり、子どもに接して感じることは、

数々の社会経験を経るという事実が、

どんな座学の勉強よりも、

将来を生きていく安心材料になるだろうという雰囲気である。

 

 

貧困に悩む子どもが目の前にいたとして、

直接接点がない大人が、

どのように支援の輪を差し伸べれば良いのか分からない、

そんな当然の疑問は多くの人が感じるところだろう。

 

その万能な答えを用意できる大人はどこにもいない。

つまりは、気がついた人が、できる範囲で支援する他ない。

子どもを気にしてあげる、たったそれだけでも十分と言える。

 

大人から関心を寄せてもらえなかったと思う子どもが増えるほど、

その子ども達が大人になった時に、

次世代の子どもに関心を寄せる大人の数は減るだろう。

 

高齢者の人口割合が増加し、

子どもの数が減少する社会で一番問題になるのは、

近視眼的な大人の数がどんどん増えていくことなのかもしれない。

そんなことをこの新書から考えさせられた師走の1日であった。

 

子ども

JUGEMテーマ:読書

評価:
日本財団子どもの貧困対策チーム
文藝春秋
¥ 780
(2016-09-21)
コメント:子どもの貧困が社会的課題という論調は多い。しかしながらそれを網羅的にコンパクトにまとめた本はまだまだ少ない。この新書はまさに全体像をさっと見つめるにはもってこいの著書

読書 | 23:59 | comments(0) | - | - | - |
人の幸せを喜ぶ心 ー心〜いかに生きたらいいか〜高田好胤著よりー

紅葉

《心慮施》

お里沢市の話で有名な壺坂寺に

私の昵懇にしてもらっている常盤勝憲という住職がおります。

常盤さんは私よりいくつか年下ですが、誠に偉い人で、

盲目の年寄りで身寄りもない人を百何人も自分の寺に集めて、お世話をしています。

これは、なかなかできることではありません。

できないことをしているだけに、いろいろと苦労もあるようです。

 

「常盤君、君はこの仕事が、こんなにえらい仕事やと、はじめから想像していたかい?」

と私が聞きますと、

「思っていた以上や。そやけど、こんなえらい仕事だとはじめからわかっていたら、

せえへんだろう。やっぱり若気のいたりでできたんや」

と、こういいます。それをもう十年以上もつづけているのです。

そして、そんなに一生懸命にやっておりましても、人はいろいろにいうものです。

 

「やあ、あれは売名でやっているのや」とか、

「社会事業を利用して、うまいことしているのや」などと陰口をたたかれます。

このごろの世の中で、うまいことをするつもりなら、

もっと楽をしてやれる方法があると思いますが、人の口は勝手なものです。

 

私にしても、私の道を一生懸命やっているつもりですが、いろいろといわれる。

「なぜ、こんなこと思われてやらんならならんのやろう」と、ときに思います。

「世の中には、遊んで、なんにもせんと喜ばれる人もあるのに、

身を粉にしてやっていて悪くいわれるのやから、よっぽど徳がたらんのやなあ。

そやけど、仏さん見ていてくれはるわ」と私は思うのです。

 

常盤さんも、あれこれいわれ、「こんなもんやめたろか」と

思うようなときがあるのだろうと思います。

その常盤さんが、ときどき私の都合をきいてやって来ることがあります。

やって来て、いろいろ話をして、それで

「兄貴にこれだけ聞いてもろうたらスッとした」といって帰って行くのです。

 

「君が一人で苦労してやっているのに、

私がもっと手伝うてやらないかんと思うのやが、それがなかなかできんのや」

あるとき、私がそういいましたところ、常盤さんはこういうのです。

「そりゃ、何かしてもらうよりも、こうしてときどき来て、

心の憂さのはけどころになってもらうほうが、何かしてもらうよりも、

なによりもぼくに対するありがたい布施やねん」

 

その人の身になって、心をこめて愚痴を聞いてあげる、それも布施であります。

これを心慮施、あるいは心施といいます。

そしてともに喜び、ともに悲しんで、

その人の幸せを願ってあげるという心であります。

 

人が苦労しているときに同情する、ともに苦労する、

それはわりあいにやりやすいことです。

ところが、人が幸せになったその幸せを喜んであげるということのできないのが、

私たち人間だと思います。同情の方はできるのです。

そして、それも心施でありましょう。けれど、人の幸せを、

本当に自分の幸せのように喜んであげられる心を、お互いに持ちたいものです。

 

仏教では、恩ということをたいへん大事にします。

わかりやすくいえば、

恩とは、してもらったことを覚えているということであります。

われわれは、されたことは覚えているけれども、

してもらったことというのは、なかなか覚えていないものです。

「あのがき、あのときにあんなことしやがって」と、

あしざまにされたことはいつまでも忘れないけれども、

してもらったことは忘れやすい。

 

同情してもらったことも、覚えていなければいけません。

愚痴を聞いてもらって、心を救ってもらったこと、

これも覚えていなければいけないのです。

人の幸せを本当に喜んであげる心というものは大事ですが、

また自分の幸せを本当に喜んでくれる

第三者の心をいつまでも忘れてはならないと思います。

 

JUGEMテーマ:自分が読んだ

評価:
高田 好胤
徳間書店
---
(1969)
コメント:他人の言葉に傷ついたときにぜひ高田住職の言葉を味わって見てください。それも人生の修行なのかもしれません。

読書 | 23:22 | comments(2) | - | - | - |
西郷隆盛に託され江戸城総攻撃を止めたのは、ある老婆蓮月の一句だった。「あだ味方 勝つも負くるも 哀れなり 同じ御国の 人と思へば」無私の日本人 磯田道史著読了。

この本「無私の日本人」には、穀田屋十三郎、中根東里、大田垣蓮月という

三人の人物について書かれた三つの史伝が収録されている。

 

無私の日本人というタイトルが付けられているが、

私がこれらの人に感じたのは、「公心ある日本人」という想いである。

 

私心をなくすこととイコールになるのかもしれないが、

自らが関わる多くの人々を思いやって行動するというのが、

江戸時代の日本人の生き方ではなかったのか、そういった投げかけが、

磯田氏が紹介されている人物の足跡から伝わってくる。

 

2016年の現在、自分のことよりも他者のことを考えて、

自らの生活を成り立たせていると胸を張って言える人は少ないだろう。

いや、実際には客観的にはそういった行動を取っていた、

過去の日本人さえ、自分自身が他人様のために役に立っていると、

自負して行動した一般人は微々たる数のはずである。

 

もちろん、世界中と貿易を行い、日々の生活を他国との関係に

依存している日本という国が、他国で暮らす人々の考え方に

影響を全く受けないことは難しい。

そうはいっても、日本という国の歴史が育んできた、

他者に慈しみを感じ、自分のやりたいことを抑えてまでも、

公の立場に立って行動するという生き方は、

これからも尊重されて欲しいと私は願っている。

この著書のあとがきで、磯田道史氏が記されている通り。

 

この著書では、穀田屋十三郎という商人、

中根東里という儒学者であり詩文家、

大田垣蓮月という歌人であり陶芸家の三人が取り上げられている。

 

彼ら彼女らは三者三様に波乱万丈の人生を歩んでいるのだが、

若い頃に多くの苦労をしてそこで得た徳を持ってして、

晩年に市井の人々と交流を図り、惜しまれてこの世を去った点は共通している。

 

人間は葬式に来てくれた人の数で人生を評価されると言われたりする。

けれども、どれだけ多くの人々が来たからといっても、

その人が広範囲の人々の人生を変化させたかどうかはわからない。

 

そんな数的な問題ではなく、自らの意思で、

他者のために長期間にわたって何らかの仕事をして、

その結果、誰か一人でも人生をよりよく導いたとすれば、

それは大いに賞賛に値する人生を送れたと言えるのではないだろうか。

 

政治家はこうあるべきだ、経済人はこうしなくてはならない、

学者はこのような生き様をして欲しい、ジャーナリストなら云々、

医者ならこんな・・・、

多様な生き方について誰かが望まれるあり方を気にしているときりがない。

 

それは、決して2016年現在の日本人に限られず、

ありとあらゆる時代に、ありとあらゆる国家で暮らす人々が、

どことなくプレッシャーを受けなければならない人間の宿命だろう。

 

もちろんそんな他者からの期待があったとしても、

自らの判断で、自らの責任で、自らに関わる人々に対して、

どのように接したら良いのかを真摯に考えて、

その結果、一歩ずつ継続的に行動しようとする人々からは

何らかの大きな成果を上げることができるはずだ。

 

この著書の中でも、最も世に知られていないだろう

中根東里のエピソードの一部を本著から紹介したい。

以下、本文p250より引用。

―――

東野はこれ華やぎたり

谷風はそれかおりたり

ここに酒を飲むあり

かれに肉を食らうあり

すでに飽きすでに酔う

我が心をして楽しましむ

 

これを聞いて、無我が笑った。

「面白いことをいいますね。彼らが勝手に飲んで楽しんでいるだけでしょう。

それでなぜ、こっちまで心が楽しくなるのですか」

 

「楽しくなりますよ。自分をひたすら無にしてごらんなさい。

我は彼になり、彼もまた我になるというように、

気持ちの垣根をとっぱらってしまえば、

自分の物ではないものはなくなりますよ。

 

自分にこだわれば、富貴貴賎、長寿短命、幸不幸、生死、福禍、栄辱

みな気になって、かえって苦しんでしまいまずが、

いっそのこと自分を無しにしてしまえば、みな同じでしょう。

 

人をきちんと育てたり、戦いをとめたり、乱暴を禁じたり、

虐めをなくしたりすることは、ほんとうはちっとも他人ごとではなくて、

自分のやまいを治しているようなものですよ」

 

「それはそうですが、聖人でもないと、そんな考え方はできませんよ。」

 

「そんなことはありません。なにも、はじめから聖人だけにかぎることはない。

わたしたちも勉めるべきではないでしょうか。

みな、それぞれ、できるところで、心の中の美しい玉をみがけばいい。

玉には大きい小さいがあって、聖人のように大きい玉は磨けないかもしれないが、

小さな玉でも磨けば美しく光る。

そういう玉を心の中に磨いていく。

それが人の生きるつとめではないかと思っているのです。」

―――

 

中根東里は、学問から書・剣・槍・弓道・柔術・鉄砲から

天文学まで達人の域に達するも仕官しようともせず、

誰かに教えを持って学費を稼ごうともしなかった。

近隣のものの世話で小さな庵に住んで近所のものに講義をした。

身近な例えを使い飾った言い回しをせず即実的なことを話した。

そこで著を記すこともなく、遺品というものがほとんどない状態で亡くなった。

 

けれども、彼が終の住処とした佐野という町を、

250年後の現代に磯田道史氏が訪ねた時に、出会った老人がこう応えたそうだ。

「東里先生でしたら、あちらのお寺におられました」

 

これが本当の先生であって、一つの道を極めた人の功績と言えるのではないか。

 

何か立派な言葉が残っているでもなく、名所があるわけでもなく、

子孫が残っているわけでもなく、世代を超えて愛されるその後影が。

JUGEMテーマ:自分が読んだ

読書 | 07:04 | comments(2) | - | - | - |

(C) 2017 ブログ JUGEM Some Rights Reserved.